呼吸器グループ 井上純人

2005年5月より、アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランドにありますCase Western Reserve University へ研究留学しております。私の所属している研究室は、伝統的に呼吸器細菌感染症と好中球の遊走をテーマとし、特に好中球の肺への遊走が、病原体と宿主の関係によってどのように制御されるのかという問題について研究を行っております。私も第一内科で仕事をしていた時は、細菌感染症の研究をしたこともあり、同じ分野で仕事ができると考え留学を決意した次第です。

 私は特に細菌感染性肺炎におけるToll like receptorによる病原体認識と好中球遊走についてをメインのテーマとしております。研究室にはアメリカに限らず、日本以外にも世界中から様々な立場の研究者が集まり、仕事をしております。皆非常に協力的で、研究の技術面だけでなく語学面でのサポートをして頂き、大変助かっております。お互いの国の文化交流もあり、見識を広めることもできます。また研究室は国際的であるだけでなく、女性が多いことも特徴として挙げられます。ボスをはじめとして半分くらいは女性で、子育てをしながらという方もいます。私の息子も学校に行き始めた所ですので、子育てのこと、学校のことなども話題になります。

 留学という経験は、研究生活に没頭できる環境の中で仕事ができるという貴重な時間を作ることができます。またそれと同じくらいの大きな経験として、異国の地で暮らすということがあります。私達家族が住むオハイオ州クリーブランドは、五大湖の一つエリー湖に面した工業都市で、アメリカではかなり北に位置する町です。そのため夏は非常に短いですが、それでも照りつける日差しは強く、刺すような暑さです。また長い冬は凍りつくほど寒く、厳しい自然を体験しています。そしてアメリカは本当に広く、どこに行ってもその広大さを実感することができます。休暇を取った時に車で荒野の中を続くハイウェイを何百マイルも走り続けたこと、地平線に沈んでいく夕日を見たことなどは印象に残っています。そして言葉の違いはもちろんのこと、文化や習慣の違いを生活の中で感じることで、アメリカという国を強く実感できたこと、そしてそれ以上に私達の国である日本を強く意識し、考えるようになったことも大きな経験であったと思っています。

 まだ一年と少しのアメリカ生活ですが、家族皆が多くの人と出会い、多くの経験ができたことは、私達にとって大きな財産となっています。私の留学生活はまだ道半ばですが、この異国での暮らし、そして研究者としての暮らしを楽しむことができればと思っています。

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 大学の付属病院であるRainbow Babies and Children's Hospital の8階に研究室があります。北は五大湖の一つエリー湖が見え、対岸はカナダですが水平線で見えません。西はクリーブランドのダウンタウンと遥かに地平線を見ることができます。
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 研究室は雑多ですが、設備は非常に整っており、動物実験、放射線の実験、DNA、RNA、蛋白、細胞培養など様々な実験ができるのは素晴らしいです。物品の調達も非常にスムーズで、大変助かっております。
  
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 2006年のATS(米国胸部疾患学会)は西海岸のSan Diegoで行われました。発表では質問が多くあり大変でしたが、とても勉強になりました。
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 世界初の飛行機を発明したライト兄弟、アポロ11号で人類史上初めて月に到達したニール・アームストロング船長はいずれもオハイオ州出身ということもあってか、同州は「航空発祥の地」(Birthplace of Aviation)と呼ばれています。これは私達の住む市内のFestivalの風景で、クラッシックカーや消防車、様々な民族衣装の人達がパレードをし、楽しむことができます。
  
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 クリーブランドにはメジャーリーグ(クリーブランドインディアンス、映画「メジャーリーグ」でも有名)、バスケット、アメリカンフットボールのチームがあります。この日はニューヨークヤンキース戦でした。